旦那の浮気による離婚が発生し、離婚に至ったとします。
離婚の理由は様々ですが、純粋に”養育費を受け取っている母子世帯”は、厚生労働省の平成28年度の発表である『平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告』の概要から抜粋すると、僅か24.3%となっています。
つまり、何らかの理由で実際に養育費の支払いが約3/4の確率で滞っているのです。
一体何故でしょうか?養育費は増減できるのでしょうか?
また、取り消される場合があるのでしょうか?多く貰うコツはあるのでしょうか?
そこで今回は、浮気した旦那と離婚したい妻に知ってほしい『養育費』の事について、詳しく解説したいと思いますので、是非参考にしてみて下さい。
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慰謝料と養育費の違い
まず、紛らわしいのが慰謝料と養育費の区別です。
離婚の際の『慰謝料』とは、旦那に不貞行為(浮気・不倫)などがあり、それが原因で結婚生活が破綻して離婚する羽目になった時に、離婚(浮気・不倫に)よる精神的苦痛を損害賠償として請求できるお金のことです。
慰謝料の支払いは一度のみです。この時、確実に不貞行為があったことが前提となります。
きちんと不貞行為をした証拠を掴むことが重要になってきます。
「浮気していたかも・・・?」という程度の怪しい状況では不利になってしまいます。
一方、『養育費』とは、離婚後、子供を教育・生活・医療費などの面で支え、成人して自立するまでに支払われるお金のことで、毎月の支払いがあります。
通常は満20歳まで支払われますが、子供が就職などで18歳で自立した場合に養育費の支払いが取り消しされたり、また、大学に入学している場合、22歳まで支払いが延長される場合もあります。
養育費は、個別の事情によって支払期間が変わるのがポイントです。
つまり、養育費は夫婦間に未成年の子供がいることが必須条件となります。
養育費の標準的な算定方法は、『東京家庭裁判所の養育費算定表』から確認することが出来ます。
非常に見やすいものですが、養育費の算定方法を知らないまま算定表を利用すると、例外的に多く貰えるはずだった養育費が支払われなかったり、本来受け取ることが出来たものを請求し損ねる場合があります。
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子供が2人,3人といるけれど、養育費は多く貰えるの?
20歳まで養育費払うってことは、子ども一人に月3万としても年で36万、二十年払うとしたら720万
— manekinekoちゃん💝🐾 (@kocchi_nyannyan) June 13, 2019
もし双子だったら倍ドン
養育費払わなきゃいけないからバリバリ稼ぐぞ!って年収増えたら養育費も増額ドン!
養育費なんてシラネって逃げても、見つかったら一括請求できるドン!
結論から言うと、養育費の金額は増加します。
しかし、子供の人数が2人になったから養育費が倍になるということはありません。
先ほどご紹介した養育費算定表を見ていくと、その結果は分かりやすいものとなっています。
また、子供の年齢によって養育費の金額が違うことにもお気付きいただけましたでしょうか?
ですので、養育費はあなたの環境に応じて個々に設定する必要があるため、”ここでいくら貰えるか”というのは決まるものではなく、実際に夫婦間で話し合いによって決めるものです。
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養育費は増額できるの?増額できる3つのポイント
養育費は、一度取り決めたあとに変更できるのでしょうか?未来の事は誰も分かりません。
夫婦の状況も、時系列で変化していきます。
旦那が昇給をすれば多く請求でき、また、リストラや転職をしたり、相手が離婚後に再婚し、子供が出来ると減額されることもあります。
養育費は、『変更の事由が発生した時は変更または取り消しができる』とされています。
養育費を相場より多く貰うためには、
- 調停や裁判の前に、話し合いによって養育費を決める。
- 養育費算定方式の中で、考慮されていない例外の事由を主張すること。
…と、この上記2つが鍵になってきます。
では、養育費を確実に多く貰うために、意識するべき3つのポイントを紹介します。
その①【養育費の正しい相場を知る】
養育費の算定方法や手続き、養育費が支払われなくなった場合にどうしたら良いかなど、正しい知識を前もって知っておく必要があります。
養育費は、支払が決まっても、40%以上の母子家庭で支払が滞っているというデータがあります。
そんな場合は、『公正証書』があるかないかによって大きく差が生まれます。
『協議離婚(話し合いの離婚)』であったか、『調停離婚』だったか、公正証書の有無によって手続きが異なりますが、『公正証書』や『調停調書』があれば、相手の財産や給与の差し押さえが出来るのです。
支払いが滞ったら、裁判所に強制執行を申し立てることができる、そんな強い力を持っています。
将来養育費未払いが発生した時の為に、是非作成しておいてほしい文書です。
その②【協議離婚や、調停離婚によって決める】
養育費を決定する際に、協議離婚や調停離婚で、話し合いできちんと細かく決めることが重要です。
話し合いが決裂して、『裁判離婚(裁判所の判断による最終的な離婚手段です)』になってしまうと、裁判所が養育費算定基準に基づいて機械的に判決を下してしまうので、貰えるべき養育費が減ってしまうことがあります。
相手さえ納得すれば、相場よりも高い養育費を請求できます。
例えば、こちら側の事情(※例えば私立の学校に通うため、子供や自分に持病がある等)の事由を盛り込んで、養育費を増額してもらいます。
その③【養育費の支払い交渉や調停などは専門家である弁護士を味方に付ける】
離婚に詳しい弁護士であることが絶対条件ですが、離婚に慣れた弁護士に依頼をすると、当人同士ではついつい感情的になって話し合いが進まない部分を、弁護士によってフォローしてもらえます。
また、法的な知識の欠落により、不利なまま養育費の算定をしてしまうこともありますが、弁護士がそれを未然に防いでくれます。
また、相手が全く養育費の支払いに動じないという場合もあると思います。
自分一人では、悩むポイントが多いのも養育費の特徴ですが、離婚に詳しい弁護士に相談することで、自分で請求するよりも高額な養育費の支払いに成功することがあります。
子供が成長して15歳以上になったら、養育費の増額についても検討してもらうことが出来ます。
また、旦那が将来昇給していれば、その分の収入に応じた支払を請求できる可能性があります。
養育費が減額されてしまうケースはあるの?
増額が可能ということは、逆に減額になってしまうケースも想定しておかなくてはいけません。
養育費の減額事由として多く挙げられるのが、旦那の”給料の減額”や、”リストラに遭った”というものが挙げられます。
その他には、旦那が離婚後、再婚し、その二人の間に”新たな子供が出来た”という事情も多くあるものです。
注意すべきは、あなたが新しい人生を出発して、再婚し、親権を持っている子供たちを再婚者の養子にした場合も、養育費が減額したり、新しい旦那の存在によって、養育費の支払いが取り消しされたりする事由として挙げられます。
離婚当時は、旦那が不倫や浮気をしたことによって、怒りに任せて離婚届に判子をついつい押したくなるものですが、このように、養育費1つをとっても、細かいところまで話し合う必要があるのが離婚のややこしさです。
しかも、将来の事は分からないので、仮にあなたがガッカリした気分でいても、新しい出会いが待っていることもあるのです。
…と、同時に旦那も新しい人生をスタートするわけです。
養育費が減額されるケースも想定に入れた人生設計をしましょう。
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養育費の請求方法
養育費の請求は、監護権(親権)を持つ親であるあなたが、監護権の無い旦那に対して請求できるものです。
通常は、毎月分割で支払われます。
ですので、毎月の支払金額と、支払日、支払方法(振込先など)をあらかじめ決めておかないと、ずるずるとなってしまい、結局支払われなくなることがあります。
相手が同意すれば、例外的に一括払いということもありますが、滅多にあるケースではありません。
相手と合意なしに一括払いはまずないと考えてください。
養育費は毎月支払うものなので、子供が満20歳までのケースを想定すると、相当な金額になってしまいます。
また、一括払いにすると税金が加算されます。デメリットも多いので注意しましょう。
不倫が原因なら、養育費の相場は上がる傾向にあります。
また、あなたは何も悪くありませんので、ペナルティの意味を込めて、話し合いに合意をとれれば、養育費を毎月高く貰うことが出来ます。
しかし、話し合いでまとまらなかった場合は、調停という手続きをへて、第三者を交えて再度話し合いを行います。
先述した養育費算定表は、以下の3つのポイントの流れに基づいて養育費を算出します。
- 旦那の収入額を基準とする
- あなたと子供が同居した場合に、子供の生活に必要な費用をシュミレーションして必要な費用を算出する
- 上記の生活費を、養育費についての支払い義務と、あなたの収入額の割合に応じて計算する
住宅ローンがある場合や、妻に持病がある場合
年収以外に、住宅ローンがある場合、慰謝料が減額されることがあります。
また、妻であるあなたが、持病があり通院するなどの事情がある場合は、養育費という名目で、通院費用を加算して調整できる場合があります。
養育費算定表は便利ですが、個々の事情までは鑑みていないので、実際の養育費の額面は夫婦で良く話し合うことが重要です。
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養育費の支払いが滞ったら?やっておくべき4つのポイント
養育費は毎月支払うものですが、時間が経つにつれて旦那の義務感が薄れ、支払いが途中で滞ったり、支払いを拒否するケースが後を絶ちません。
そういった場合も考慮しておくことが重要です。
以下、4つのポイントをご紹介します。
その①【養育費を旦那が支払わなくなったら?】
最初の対処方法は、まず電話など、口頭で支払いを請求します。
それでも応じない場合は、『内容証明郵便』を使って請求しましょう。
内容証明郵便とは聞きなれないかもしれませんが、郵便局側が、差出人と、宛先人、いつどのような内容の手紙を送ったか記録するもので、裁判では良く使われる郵送方法で、郵送料は少しだけ上がります。
手紙の一部が郵便局に保存されるため、請求したことを証明できます。
また、この時に弁護士をつけて、弁護士名で内容証明郵便を送ると相手に本気度が伝わり、支払う確率はグッと上がります。
ですが、同時に弁護士に支払いの義務も発生します。
その②【調停を申し立てて旦那に請求するか、公正証書を利用する】
内容証明郵便を無視された場合、家庭裁判所に対して調停の申し立てを検討すると良いでしょう。
既にご紹介したとおり、公正証書や調停調書がある場合はそれを履行します。
無い場合は、ここで新しく作成すると良いでしょう。
その③【履行勧告を出してもらう】
養育費の支払いに関して、調停調書や公正証書、また勝訴判決が出ている場合、家庭裁判所に申し立てて、裁判所に支払いの勧告をしてもらうことができます。
これを『履行勧告』と言います。
大概は、この履行勧告に従って支払いに応じますが、これでも無視された場合は、履行命令を出してもらうことが出来ます。
履行命令に対して、正当な理由無く応じない場合は10万円以下の過料になるので、旦那への圧力が高まります。
その④【強制執行をして、養育費を支払ってもらう】
履行勧告や履行命令にも応じない場合は、最終手段として、『強制執行』があります。
強制執行とは、裁判所が、支払い義務者である旦那の預貯金や給料、財産を差し押さえて現金化して、あなたに支払いすることです。
これには、公正証書や、調停調書や、確定判決があることが前提となりますので、話し合いの時点でかならず公正証書を作っておきましょう。
この時、差し押さえ出来る財産があることがポイントとなります。
差し押さえる財産の1つに給与がありますが、給与には、額面収入から、税金と社会保険料を引いた約1/2は差し押さえできないことを覚えておきましょう。
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今回のまとめ
というわけで、今回は養育費の算出方法や、養育費の増額・減額についてご説明させていただきました。
離婚の際に子供がいることが絶対条件になりますが、親権者であるあなたにとって、毎月支払いがあることは将来への不安を取り除く救いであると言えます。
子供の生活や将来の安心の為に、公正証書は話し合いの時点で是非とも作成して頂きたい文書です。
迷ったり、分からなくなったりしたら、弁護士に相談するのも良いでしょう。
デメリットとして弁護士費用は加算されますが、養育費の場合はデメリットを換算しても、メリットが大きいことの方が多いようです。
また、浮気・不倫が原因の場合、証拠がハッキリしていないとあなたの立場が不利になりますので、不貞行為、すなわち浮気相手との『肉体関係』を証明する証拠を、探偵などに依頼して強い証拠を得ておくと有利でしょう。
裁判では、LINEやメールのやり取りなどは証拠になりません。
ラブホテルに出入りするところの動画などが証拠になります。
浮気や不倫を疑ったら、まずは問い詰める前に旦那は泳がせておいて、その間にコッソリ探偵を雇うなどして、旦那が”ぐうの音も出ないような強い証拠収集”をしておくことを最後にオススメしておきます。
証拠さえあれば、妻が有利に養育費の請求ができますよ。
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